一枚の写真

ここにアップして良いのかな?K編集長に許可をもらってないのですが、勢いで・・・。
先日神保町の編集部へ立ち寄った際に「日本陸軍の戦車」編集長のKさんより、上記写真について「箱根方面での撮影らしいのですが・・・場所は特定できませんか?」と質問され、弊社会長(昭和21年式)に見せたら判るかもしれないと安請け合いしました。結果、一目見て「長尾峠だあ」と特定してくれたのですが、写真の奥に写るお寺のようなものは自分の記憶にはありません。平成22年現在の長尾峠にも茶屋はありますので、手前に写る茶屋の位置を頼りに、本日現場確認へ行ってきました。
その結果、茶屋の先にお寺の山門のような施設が立っていた痕跡も、そのスペースも無く、70数年の歳月が経てば道路の様子も変わるとは言え、これは長尾峠ではないのでは?と思い始めた頃、茶のご主人が草刈りを始めたので突撃取材を敢行しました。すると「これはココだよ、珍しい写真だね~」とのこと。

さらに御主人が昭和初期の絵葉書のコピーを下さるということで、茶屋へ。その写真がこちら。確かに例の山門と思しき施設が写っています。聞けば、これは展望台として富士屋ホテルで働く英国人の要請で建てられ、昭和の終わり頃まで遺されていたのだそうです。展望台の左に紅葉の木が写っていますが、これは現在でもしっかり残っています。3枚の写真共に赤字で「コレ」と記した木です。

平成22年7月19日現在の長尾峠。展望台のあったすぐ横に現在の富士見茶屋さんがあり、その奥にある駐車場の部分が展望台だったのです。手前に写る茶屋は別のお店で、昭和47年の箱根スカイライン開通時に長尾峠トンネル手前の交差点工事に伴い現在では跡形も無くなってしまっています。おそらくは、現在では箱根スカイラインへの接続路あるいは、ベルビュー長尾ゴルフコースへ下る私道になっている場所に相当すると思われます。
元の写真が思った以上に高い位置からの撮影なので、けもの道に入らなければ同じアングルでの撮影は難しく、今回は準備不足で断念。次回は装備を整えて、同じアングルで撮影にチャレンジしたいと思います。
本を作る作業は、このような地道で刺激的な作業の積み上げです。
発売予定は順調に遅れておりますが、今しばらくお待ち下さい

