M47パットン戦車その2
意外に思いますが、第二次大戦勃発時にはアメリカ軍の戦車部隊はヨチヨチ歩きだったのです。
M3中戦車を経てアメリカ軍の主力となったM4シャーマンはジープと同様に、大戦が始まってから開発生産され、世界中の戦線に投入され勝利を掴みます。アメリカの生産力には驚かされますね。
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WWⅡも中盤戦に入り、シチリアやイタリア戦線でドイツ軍のアニマルシリーズ(ティーガー、エレファントやパンター)に遭遇ると、前線からは数的な優位も吹き飛ぶような報告が上がって来ました。しかしながら、遠く戦線から離れた本国のお役所仕事は世の東西を問わない様でして、開発されていたM26パーシング重戦車の配備は刻々として進みません。しまいには、ノルマンディー上陸後に捕獲したパンター戦車をM4シャーマンで破壊できないことを確認され、ティーガーやティーガーⅡには歯が立たなことを知った、アイゼンハワー総司令官の命令で(激怒したらしいです・・・)M26パーシングは欧州戦線に姿を現したのです。もっとも、そのころには相手となるドイツ軍アニマルシリーズ戦車は絶滅危惧種と化しており、おっつけドイツ降伏し、M26パーシングも再び歴史の表舞台から姿を消すかと思われました。
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ところが、朝鮮戦争が勃発すると北朝鮮軍のT34/85戦車を相手に、再びM4シャーマンは苦戦を強いられ、M26パーシングが投入。38度線まで北朝鮮軍を押し返すことに成功します。
しかし、山がちな地形で使用されたため、パワー不足だとか、機動性が悪いなど、およそ重戦車にはいやがらせのような評価をされてしまったのです。時代の要請はMBT指向であり、重戦車だ軽戦車だの寝言を言っていても、戦う相手は選べません。重戦車の攻撃力と防御力を兼ね備え、軽戦車のように身軽に走り回る戦車が求められたのです。幸いにも技術の進歩がそれを実現させます。
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M26パーシングのエンジンルームを大幅に設計変更し、500馬力から800馬力エンジンへ換装、ミッションも変更され、エンジンルーム上面、排気管の取り回しが変わり、スプロケット位置変更に伴い補助転輪が追加され、M46パットン戦車となるのです。パットンとはご存じのとおり、勇名をはせたWW2のアメリカ戦車部隊指揮官の名前です。
前から見るとM26と区別が難しいです。砲塔の形状はM4シャーマン譲りで野暮ったいですね。
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後ろから見るとご覧のとおり、M46(左)とM47(右)は同じ車体だとすぐに判ります。
M46の車体にステレオ式レンジファインダー(戦艦や対空砲などでは広く用いられていた測距儀)を搭載した新砲塔を載せたのがM47パットン戦車の正体です。アメリカ軍の戦後第一世代戦車となるべくして開発された割にはあか抜けない補助転輪・・・さらには戦艦や対空砲では問題が無かったのですが、狭い戦車砲塔に装備したレンジファインダーは射撃振動と戦車の機動により破損が相次ぎ、アメリカ軍は早々と全面改良モデルのM48パットンへ配備を変更。
用済みとなったM47パットンは西側陣営へ広く供与されることになり、70年代に制作された戦争映画の名脇役として多くのフィルムに姿をとどめることになったのは皮肉な運命です。ある意味での欠陥戦車であり、自衛隊へは供与の順番が回って来なかったのはラッキーだったと言えるでしょう。
最新M47パットンが西ドイツへは供与され、日本へは供与されないと言う焦りが、戦後初の国産61式戦車開発の後押しの一つの要因であったことも忘れてはなりません。
61式戦車開発史には必ず、米軍から供与されたM4シャーマン、M24チャーフィーの運用経験が役立った話とともに、赤羽補給所で朝鮮戦争から帰還したM47のオーバーホールを見学し、クロスドライブ方式に唖然とした話が出て来ます。もしかすると中田商店コレクションのM47が、三菱重工の技術者たちが見学した車両かもしれませんね。
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最後にまたまた「バルジ大作戦」のワンシーンと言いたいところですが、西ドイツに配備されたM47の演習風景です。バルカンクロイツが戦後のそれで、軽機関銃もMG42ではなく、西ドイツのMG3です。
写真を見て「バルジ大作戦」にこんなシーンがあったっけ?と考えてしまうあなたはいろんな意味で重症です(笑)
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