いよいよ戦車を塗装です!

世界中の戦車博物館を見渡しても、当時の塗装をしっかり再現している車両はとても少ないのが実情です。
手間隙掛かり、人手も予算も足りない中で仕方がないと言う部分もあると思いますが、多くは学芸員さんや管理する軍の要員さんの熱意と知識の不足が原因のようです。
実際に、世界的に人気のあるドイツ軍戦車の塗装がしっかり再現されるようになったのはここ20年くらい。
それまではいい加減なモノが多かったのです。

さて、日本軍戦車の塗装はどうかと言えば・・・絶望的な状態です

そこで、今回の塗装にあたってのテーマは塗装色の再現と、迷彩パターンの研究。
ご覧のようにプラモデル用の塗装チャートを元に明細パターンをチョークで書き込むことからスタートです。
「なんだプラモデルと同じか」と、馬鹿にしてはいけません!
前述のドイツ軍戦車の塗装もプラモデル愛好家の研究の成果が認められ、ちびっ子だった模型マニアが、長じて実物の塗装を任されるに及んでの結果なのです。
ですから、日本戦車の塗装研究の本日の「初めの一歩」は大きな意味を持つと思います。

ベース色の茶色は単体では明るすぎるかな?と思いましたが・・・
緑色、土地色をご覧のように手間隙掛けて一色づつマスキングして仕上げて行くと良い感じに!!

なにせ監修者が凄いのです。チョークで黄色帯びの下書き中は、模型メーカーファインモールドの鈴木社長。
後ろでチェックしているのは、アーマーモデリング誌でおなじみの吉祥寺怪人さんです。
鈴木社長には、この日のために準備段階から打ち合わせを重ね、色の調整にもアドバイスを頂戴していたのです。

黄色の帯は迷彩パターンではなく、輪郭を誤認させる目的の仕切り線なのですが、これを実物大で再現するのは非常に難しいです。また、日本陸軍戦車の独自の塗り方なので、外人さんには理解が出来ないらしく、黄色も迷彩パターンとしてもっと広い面積で塗り分けてしまった残念なケースも見受けられます。
今回は、最初からこの黄色帯が「肝」ということで、チョークでの下書きも何度も修正を繰り返したのですが、結果はご覧のように、日本軍初期型南方仕向けの迷彩色が見事に再現できました。
これから履帯や、車外装備品の取り付けが待っております。
とは言え、カマド社員やNPO関係のボランティアさんがお手伝いしてくれるので、自分の出番はほとんどありません。ちょっぴり寂しいですが、これで良いのでしょう。自分は次の一手(一台?)を考えるのが仕事です
