夏休みの自由研究です!(その2)
「その1」で、ご要望があれば「その2」を、と結びました。
実際にぼちぼちとご要望はあったのです・・・が、忙しさにかまけて10月になってしまいました。
っま、本当の夏休みは11月に一週間頂戴することにしたので、涼しくなりましたが自分の気持ち的にはまだまだ夏は続いているということで「その2」に行ってみましょう!
さてさて今回も長いですよ!
シュタイヤー1500Aには、「01」と「02」というサブタイプがあります。
この数字はシュタイヤー1500Aのボディー形状の識別番号かと思ったら大間違いでした。
今回自分が購入したレストアベース車両は、幸い当時のデータプレートが残っていました。
そのプレートから、型式は「1500A/02」とはっきり読み取れます。

そこで、自分が最初に立てた仮説は「01」がコマンドワーゲンで、「02」が兵員輸送タイプという分類でした。
しかし、タミヤ模型の兵員輸送タイプは「1500A/01」で、コマンドワーゲンは「1500A」という悩ましい表示。
もしや、兵員輸送タイプが「01」なら、コマンドワーゲンが「02」であり、自分の入手したベース車はコマンドワーゲンのなれの果て?などと、自分の「仮説」は、早くも「妄想」の類に成り下がります。
そもそも、シュタイヤー1500Aは、生産台数の多い順に大きく分けて、8人乗りの幌型ボディーの兵員輸送タイプ(キューベルワーゲン)、2人乗りのキャビンを持ったトラックタイプ(救急車や通信車を含む)、5人乗りのハードトップセダンタイプ(コマンドワーゲン)の3つに分類されます。このボディー形式あわせた番号であれば「03」以降もないと分類出来ません。さらに、コマンドワーゲンの生産台数は極僅かだそうで、もしも自分のベース車がコマンドワーゲンであれば、現地欧州のマニアが放って置く筈がありません。
こういう時には詳しい人に聞いてしまえ!ってな事で、日本国内の詳しそうな人に声を掛けるも、まともに文章として読めるものはCCV誌19号のバンダビーン氏の連載「ミリタリーCCVヒストリー」翻訳のみという。

早速、バックナンバーを弊社キュリアス編集長に貸してもらって読んでみると、「さらに/01あるいは/02という符号が付けられる。これは初期型か後期型かを示す。」と、この件については一行のみの記述・・・なんともかんともです。
こうなれば、チェコ人のマニアに聞いてみよう!というこで、レストアを依頼しているヴァーブラさんにメールしたところ、「よく判らない」とのこと。ただし、「あるドイツ人が言うことには、/01はシュタイヤー社の製造で、/02はアウトウニオンでの製造。」と、もっともらしい情報を入手。
しかし、この情報を鵜呑みに出来ないのは、先ほどのデータプレートの存在です。
思い切り「1500A/02」と「Steyr-Daimler-Puch A-G」の文字が印刷されています。打刻ではなく、印刷です。アウトウニオンの工場で製造されていれば、データプレートにはその工場銘が入ると思うのですが・・・
ああ、考えても判りません。
困ったときのネットサーフィン。犬も歩けばなんとやらです。
するとどうでしょう!海外のプラモデル愛好家のサイトで「兵員輸送タイプの初期型車体は左側面のスペヤタイヤ取り付け用の切り欠きが無く、これを/01と呼ぶ。」との記載が・・・

このタイプですね。よく見ると人物の左腕の上方、ボディー内部にスペヤタイヤの頭が見えます。
確かにこれは積み下ろしが大変そうです。少々手間が掛かっても、ボディー形状を再設計して外部へ移設したくなるでしょう。しかし、先般申し上げた通り、ボディー形状の変更で/01から/02となるなら、兵員輸送タイプ以外の車両はどうなるかね?という質問の答えにはなりません。
さらに兵員輸送タイプのリヤフェンダーの廃止については「後期になって廃止されるが、/02という呼称に変更は無い」と書かれています。この説をとれば、タミヤさんの模型は全て「1500A/02」ということになります。
世界のタミヤ模型さんは、何か根拠があって「/01」と表記している訳ですから、このサイトの説明は受け入れられません。
・・・そんなモヤモヤした状況下、よくよく英文を読み込んでいくと、スペヤタイヤ移設の記事の最後に「初期の車体は、サスペンションの強度不足により破損が相次いだために、その後リヤのサスペンションが強化された。」と記述が!!

早速、手持ちの「1500A/01」(1942年6月)のパーツリストを見てみます。
そして、チェコから送られてきたレストア中の「1500A/02」の実車と見比べてみましょう。

おお!レストア中の「/02」シャーシでは、リーフスプリングが2段重ねに強化され、フレーム側にもバンプストッパーが増設されて居ますね。
このパーツリストは1943年4月改定と、表紙に記述があります。
ここが「/01」と「/02」の分かれ目なのでしょうか?
手元に「/02」のパーツリストがありませんので、ここまでが「妄想限界」のようです。
って、これだけ引っ張って限界かよ!ってお叱りの声が聞こえて来そうですね(笑)
実は、先日チェコ人から1944年版の「/02」整備マニュアルを購入しました。
まだ手元に届いて居りませんが、たまたま内容確認用の画像に必要な部分が写っていたのです!

はい、リヤのリーフスプリングがレストア車両の写真と同じ形状に描かれて居ます!
これで「/02」型は少なくともリヤサスペンション強化後の車両であるという十分条件を得られました。
これで、バンダビーン氏の記述と、タミヤ製品名との整合もとれて枕を高くして寝られるってもんです。
えっへん。
あとは改定の時期ですね・・・じっくり検証してみましょうか?
本当は本稿で兵員輸送タイプのボディー形状の変遷も辿ってみたかったのですが、長くなりましたので「その3」のご要望があれば章を改めて・・・と、思います。
さてさて、そろそろチェコではレストア作業も大詰めを迎えているころです。
年内に完成すると良いなあ~。
実際にぼちぼちとご要望はあったのです・・・が、忙しさにかまけて10月になってしまいました。
っま、本当の夏休みは11月に一週間頂戴することにしたので、涼しくなりましたが自分の気持ち的にはまだまだ夏は続いているということで「その2」に行ってみましょう!
さてさて今回も長いですよ!
シュタイヤー1500Aには、「01」と「02」というサブタイプがあります。
この数字はシュタイヤー1500Aのボディー形状の識別番号かと思ったら大間違いでした。
今回自分が購入したレストアベース車両は、幸い当時のデータプレートが残っていました。
そのプレートから、型式は「1500A/02」とはっきり読み取れます。

そこで、自分が最初に立てた仮説は「01」がコマンドワーゲンで、「02」が兵員輸送タイプという分類でした。
しかし、タミヤ模型の兵員輸送タイプは「1500A/01」で、コマンドワーゲンは「1500A」という悩ましい表示。
もしや、兵員輸送タイプが「01」なら、コマンドワーゲンが「02」であり、自分の入手したベース車はコマンドワーゲンのなれの果て?などと、自分の「仮説」は、早くも「妄想」の類に成り下がります。
そもそも、シュタイヤー1500Aは、生産台数の多い順に大きく分けて、8人乗りの幌型ボディーの兵員輸送タイプ(キューベルワーゲン)、2人乗りのキャビンを持ったトラックタイプ(救急車や通信車を含む)、5人乗りのハードトップセダンタイプ(コマンドワーゲン)の3つに分類されます。このボディー形式あわせた番号であれば「03」以降もないと分類出来ません。さらに、コマンドワーゲンの生産台数は極僅かだそうで、もしも自分のベース車がコマンドワーゲンであれば、現地欧州のマニアが放って置く筈がありません。
こういう時には詳しい人に聞いてしまえ!ってな事で、日本国内の詳しそうな人に声を掛けるも、まともに文章として読めるものはCCV誌19号のバンダビーン氏の連載「ミリタリーCCVヒストリー」翻訳のみという。

早速、バックナンバーを弊社キュリアス編集長に貸してもらって読んでみると、「さらに/01あるいは/02という符号が付けられる。これは初期型か後期型かを示す。」と、この件については一行のみの記述・・・なんともかんともです。
こうなれば、チェコ人のマニアに聞いてみよう!というこで、レストアを依頼しているヴァーブラさんにメールしたところ、「よく判らない」とのこと。ただし、「あるドイツ人が言うことには、/01はシュタイヤー社の製造で、/02はアウトウニオンでの製造。」と、もっともらしい情報を入手。
しかし、この情報を鵜呑みに出来ないのは、先ほどのデータプレートの存在です。
思い切り「1500A/02」と「Steyr-Daimler-Puch A-G」の文字が印刷されています。打刻ではなく、印刷です。アウトウニオンの工場で製造されていれば、データプレートにはその工場銘が入ると思うのですが・・・
ああ、考えても判りません。
困ったときのネットサーフィン。犬も歩けばなんとやらです。
するとどうでしょう!海外のプラモデル愛好家のサイトで「兵員輸送タイプの初期型車体は左側面のスペヤタイヤ取り付け用の切り欠きが無く、これを/01と呼ぶ。」との記載が・・・

このタイプですね。よく見ると人物の左腕の上方、ボディー内部にスペヤタイヤの頭が見えます。
確かにこれは積み下ろしが大変そうです。少々手間が掛かっても、ボディー形状を再設計して外部へ移設したくなるでしょう。しかし、先般申し上げた通り、ボディー形状の変更で/01から/02となるなら、兵員輸送タイプ以外の車両はどうなるかね?という質問の答えにはなりません。
さらに兵員輸送タイプのリヤフェンダーの廃止については「後期になって廃止されるが、/02という呼称に変更は無い」と書かれています。この説をとれば、タミヤさんの模型は全て「1500A/02」ということになります。
世界のタミヤ模型さんは、何か根拠があって「/01」と表記している訳ですから、このサイトの説明は受け入れられません。
・・・そんなモヤモヤした状況下、よくよく英文を読み込んでいくと、スペヤタイヤ移設の記事の最後に「初期の車体は、サスペンションの強度不足により破損が相次いだために、その後リヤのサスペンションが強化された。」と記述が!!

早速、手持ちの「1500A/01」(1942年6月)のパーツリストを見てみます。
そして、チェコから送られてきたレストア中の「1500A/02」の実車と見比べてみましょう。

おお!レストア中の「/02」シャーシでは、リーフスプリングが2段重ねに強化され、フレーム側にもバンプストッパーが増設されて居ますね。
このパーツリストは1943年4月改定と、表紙に記述があります。
ここが「/01」と「/02」の分かれ目なのでしょうか?
手元に「/02」のパーツリストがありませんので、ここまでが「妄想限界」のようです。
って、これだけ引っ張って限界かよ!ってお叱りの声が聞こえて来そうですね(笑)
実は、先日チェコ人から1944年版の「/02」整備マニュアルを購入しました。
まだ手元に届いて居りませんが、たまたま内容確認用の画像に必要な部分が写っていたのです!

はい、リヤのリーフスプリングがレストア車両の写真と同じ形状に描かれて居ます!
これで「/02」型は少なくともリヤサスペンション強化後の車両であるという十分条件を得られました。
これで、バンダビーン氏の記述と、タミヤ製品名との整合もとれて枕を高くして寝られるってもんです。
えっへん。
あとは改定の時期ですね・・・じっくり検証してみましょうか?
本当は本稿で兵員輸送タイプのボディー形状の変遷も辿ってみたかったのですが、長くなりましたので「その3」のご要望があれば章を改めて・・・と、思います。
さてさて、そろそろチェコではレストア作業も大詰めを迎えているころです。
年内に完成すると良いなあ~。
複数の方からデータプレートがピンボケで読めない!
というお叱りを頂戴したので、ズームアップで掲載します。

「1500/02」と判別できますでしょうか?
もともとのチェコから送られてきた写真がピンボケなので、これ以上は何ともしがたいのでご勘弁を・・・
というお叱りを頂戴したので、ズームアップで掲載します。

「1500/02」と判別できますでしょうか?
もともとのチェコから送られてきた写真がピンボケなので、これ以上は何ともしがたいのでご勘弁を・・・