ビッグレスキューあずま2017見学の巻
知ってる人は知ってますが、知らない人は全く知らないことを書き綴っている拙ブログ。
本日も、自衛隊の日々の訓練についてちょっぴり書いてみましょう。
自衛隊の災害派遣といえば、被災地で瓦礫の山と格闘したり、炊き出し給食支援や入浴支援の様子を思い浮かべる方々も多いと思います。それらの尊い活動の根源はもちろん個々の隊員の日々の体力練成や、訓練の賜物なのでありますが、自衛隊が組織をとしてその能力を発揮するためには訓練や演習が欠かせません。ですから、自衛隊の駐屯地には隣接する演習場が理想であり、演習場を持たない部隊駐屯地は即組織としての能力発揮に問題を抱えることになります。
昨今話題の離島への部隊配備などはこの辺も考慮の上で議論する必要がありますし、東富士演習場を擁する御殿場地区が陸自の聖地たる所以でもあります。

てな訳で、単なるハードマニアではないという言い訳を書き連ねたる後は、東部方面隊オピニオンリーダーのお勤めという大義名分の下に上陸用舟艇への車両積載の初見学して参りましたのでご報告致します。
今回の想定は、東海地震発災により交通が遮断された伊豆半島の某所に、練馬に所在する第一師団隷下の先遣部隊が米軍艦艇の支援により速やかに展開するというもの。数千人単位の部隊を実際に動かす予算も余裕も、現在の自衛隊にはございませんので、机上演習(TTX)や指揮所演習(CPX)が大掛かりに行われ、有事に備えるのが近演習の主目的であり、自分が見学させて頂いた部隊の初動演習はその最終段階の細やかな唯一の実働演習(FTX)であります。この演習が有事にどれほど役に立つかということは、不幸にも東日本大震災が証明することになりました。大震災の3年前に実施された「みちのくアラート2008」による各種データの蓄積や、自治体との連携が無ければ、あの未曽有の大震災に対応することは数倍、数十倍の労力を要したことでしょう。

写真は横浜港瑞穂埠頭(米国呼称ヨコハマ・ノースドック)における高機動車と73式小型トラックの積み込みの様子です。
我々の到着に備えて待機が長くなってしまったため、潮が満ちて来たために道板を使って乗り込みます。
大外形タイヤの高機動車はすんなりと乗り込みますが、73式小型トラックは簡単には行きませんでした。
塩水に濡れたタイヤで鉄板のスロープをバックで上がるには、それなりの技術が必要です。
すったもんだの末に搭載完了し、夕刻の横浜港からLSTは一路伊豆半島へ向けて出発し、翌朝の上陸に備えます。

でもって、明けて翌日朝8時。早朝3時から自衛隊施設隊が設営した仮設テントにて状況説明を受けた後は・・・

支給された双眼鏡を手に、LST接岸の様子を皆で見学です。

思ったよりもゆっくり、本当にゆっくりと接岸する米軍LST。

映画さながらに接岸と同時にゲートが開き、準備万端整った先導車輛(昨日最後に乗り込んだパジェロ)が発進します!

そして上陸!
・・・と思いきや、アプローチアングルが足りずに鼻先が砂利に突っ込んでストップ!?
どうするのかとハラハラしていたら、屈強な米軍兵士と自衛官数名で「持ち上げて戻す」という力業で解決し、道板を入れて
再度上陸です♪
と、喜びも束の間、砂浜は雪道と同じく、上り方向で止まったらそこで試合終了なのです。
再発進を試みるも、見事に砂利水を盛大に巻き上げてスタックしてカメさん状態。
待機していた34連隊の高機動車に牽引してもらう羽目に・・・

もたもたしていると潮が満ちてくるので、LSTは縦列駐車の要領で潮の流れを利用して横へ移動。
そして二台目のパジェロが発進!一台目の失敗を活かして勢いよく坂道を上りま・・・せん。
勢いあまってアクセル踏み過ぎたのでしょうか?やはりカメさんとなり、高機動車の牽引を待つ羽目に・・・

そんなパジェロを横目に二台の高機動車は、派手に砂利を巻き上げながら無事に難所を通過。
事前に用意されたスロープを利用して前進して行きました。最初は大げさな装備かと思っていたスロープもこうなると本当に大切で、大活躍ですね♪
見学者の間では、高機動車にはセンターデフロックがあり、パジェロには無いからダメなのか?などと話が弾みますが・・・
スリップするほどアクセル踏んでいたのは高機動車のドライバーも同様でしたから、タイヤ径が大きく、低速トルクがあり前後の重量配分が良い高機動車はこの手のシュチュエーションに強かったということでしょう。
そうです。ガンダムならアムロでもランバ・ラルに勝てるのです。
そもそもパジェロ4WDの低速に切り替えてあったかどうか?砂利浜でタイヤ空転は不味いですね。
あっ、この際もう一つ。AT車だからダメというご意見もありますが、個人的な見解としてはそれは関係ありません。
特性を理解していれば、雪道発進、砂利道発進はむしろAT車の方が有利だと思います。
運転技術の基本として、濡れた鉄板の上を走ったり、踏み固められていない砂利道(海岸や河岸)を走る訓練が十分なされているのか?という点が浮き彫りになった現場でした。まあ、それを訓練するための実施演習ですから、ここでの失敗を糧に本番でスムーズに事が進むように錬成が進むことでしょう。

沢山の見学者を前に、ちょっぴり後味が悪く、心なしか寂し気に帰路につくLSTは再びノンビリと一日掛かって横浜港に帰って行きました。
今回、初めて海浜への上陸の様子を見学しましたが、平素から十分に訓練され、事前の地理情報もある海浜への揚陸もこのように多くの困難を伴うわけですから、敵前上陸なんてとっても効率が悪く大変な作戦となるのは想像以上なのだろうと感じました。
史上最大の作戦に始まり、太平洋の島々で展開された米軍の敵前上陸作戦は、その規模、能力共に凄まじいモノだったことを改めて実感させて頂きました。平時でたった四台の軽車輛の揚陸でこれだけの苦労ですから、戦時の敵前ではいったいどれだけの戦力が上陸できたのでしょうか?とても気になります。
戦争と同じく、いざという時が来ない方が良いと感じるこの訓練ですが、万が一の際には、今回の訓練で得られえた多くの教訓を活かして我々の救助に駆け付けて下さる自衛隊及び米軍の皆様、日々の訓練ご苦労様でございます('◇')ゞ
本日も、自衛隊の日々の訓練についてちょっぴり書いてみましょう。
自衛隊の災害派遣といえば、被災地で瓦礫の山と格闘したり、炊き出し給食支援や入浴支援の様子を思い浮かべる方々も多いと思います。それらの尊い活動の根源はもちろん個々の隊員の日々の体力練成や、訓練の賜物なのでありますが、自衛隊が組織をとしてその能力を発揮するためには訓練や演習が欠かせません。ですから、自衛隊の駐屯地には隣接する演習場が理想であり、演習場を持たない部隊駐屯地は即組織としての能力発揮に問題を抱えることになります。
昨今話題の離島への部隊配備などはこの辺も考慮の上で議論する必要がありますし、東富士演習場を擁する御殿場地区が陸自の聖地たる所以でもあります。

てな訳で、単なるハードマニアではないという言い訳を書き連ねたる後は、東部方面隊オピニオンリーダーのお勤めという大義名分の下に上陸用舟艇への車両積載の初見学して参りましたのでご報告致します。
今回の想定は、東海地震発災により交通が遮断された伊豆半島の某所に、練馬に所在する第一師団隷下の先遣部隊が米軍艦艇の支援により速やかに展開するというもの。数千人単位の部隊を実際に動かす予算も余裕も、現在の自衛隊にはございませんので、机上演習(TTX)や指揮所演習(CPX)が大掛かりに行われ、有事に備えるのが近演習の主目的であり、自分が見学させて頂いた部隊の初動演習はその最終段階の細やかな唯一の実働演習(FTX)であります。この演習が有事にどれほど役に立つかということは、不幸にも東日本大震災が証明することになりました。大震災の3年前に実施された「みちのくアラート2008」による各種データの蓄積や、自治体との連携が無ければ、あの未曽有の大震災に対応することは数倍、数十倍の労力を要したことでしょう。

写真は横浜港瑞穂埠頭(米国呼称ヨコハマ・ノースドック)における高機動車と73式小型トラックの積み込みの様子です。
我々の到着に備えて待機が長くなってしまったため、潮が満ちて来たために道板を使って乗り込みます。
大外形タイヤの高機動車はすんなりと乗り込みますが、73式小型トラックは簡単には行きませんでした。
塩水に濡れたタイヤで鉄板のスロープをバックで上がるには、それなりの技術が必要です。
すったもんだの末に搭載完了し、夕刻の横浜港からLSTは一路伊豆半島へ向けて出発し、翌朝の上陸に備えます。

でもって、明けて翌日朝8時。早朝3時から自衛隊施設隊が設営した仮設テントにて状況説明を受けた後は・・・

支給された双眼鏡を手に、LST接岸の様子を皆で見学です。

思ったよりもゆっくり、本当にゆっくりと接岸する米軍LST。

映画さながらに接岸と同時にゲートが開き、準備万端整った先導車輛(昨日最後に乗り込んだパジェロ)が発進します!

そして上陸!
・・・と思いきや、アプローチアングルが足りずに鼻先が砂利に突っ込んでストップ!?
どうするのかとハラハラしていたら、屈強な米軍兵士と自衛官数名で「持ち上げて戻す」という力業で解決し、道板を入れて
再度上陸です♪
と、喜びも束の間、砂浜は雪道と同じく、上り方向で止まったらそこで試合終了なのです。
再発進を試みるも、見事に砂利水を盛大に巻き上げてスタックしてカメさん状態。
待機していた34連隊の高機動車に牽引してもらう羽目に・・・

もたもたしていると潮が満ちてくるので、LSTは縦列駐車の要領で潮の流れを利用して横へ移動。
そして二台目のパジェロが発進!一台目の失敗を活かして勢いよく坂道を上りま・・・せん。
勢いあまってアクセル踏み過ぎたのでしょうか?やはりカメさんとなり、高機動車の牽引を待つ羽目に・・・

そんなパジェロを横目に二台の高機動車は、派手に砂利を巻き上げながら無事に難所を通過。
事前に用意されたスロープを利用して前進して行きました。最初は大げさな装備かと思っていたスロープもこうなると本当に大切で、大活躍ですね♪
見学者の間では、高機動車にはセンターデフロックがあり、パジェロには無いからダメなのか?などと話が弾みますが・・・
スリップするほどアクセル踏んでいたのは高機動車のドライバーも同様でしたから、タイヤ径が大きく、低速トルクがあり前後の重量配分が良い高機動車はこの手のシュチュエーションに強かったということでしょう。
そうです。ガンダムならアムロでもランバ・ラルに勝てるのです。
そもそもパジェロ4WDの低速に切り替えてあったかどうか?砂利浜でタイヤ空転は不味いですね。
あっ、この際もう一つ。AT車だからダメというご意見もありますが、個人的な見解としてはそれは関係ありません。
特性を理解していれば、雪道発進、砂利道発進はむしろAT車の方が有利だと思います。
運転技術の基本として、濡れた鉄板の上を走ったり、踏み固められていない砂利道(海岸や河岸)を走る訓練が十分なされているのか?という点が浮き彫りになった現場でした。まあ、それを訓練するための実施演習ですから、ここでの失敗を糧に本番でスムーズに事が進むように錬成が進むことでしょう。

沢山の見学者を前に、ちょっぴり後味が悪く、心なしか寂し気に帰路につくLSTは再びノンビリと一日掛かって横浜港に帰って行きました。
今回、初めて海浜への上陸の様子を見学しましたが、平素から十分に訓練され、事前の地理情報もある海浜への揚陸もこのように多くの困難を伴うわけですから、敵前上陸なんてとっても効率が悪く大変な作戦となるのは想像以上なのだろうと感じました。
史上最大の作戦に始まり、太平洋の島々で展開された米軍の敵前上陸作戦は、その規模、能力共に凄まじいモノだったことを改めて実感させて頂きました。平時でたった四台の軽車輛の揚陸でこれだけの苦労ですから、戦時の敵前ではいったいどれだけの戦力が上陸できたのでしょうか?とても気になります。
戦争と同じく、いざという時が来ない方が良いと感じるこの訓練ですが、万が一の際には、今回の訓練で得られえた多くの教訓を活かして我々の救助に駆け付けて下さる自衛隊及び米軍の皆様、日々の訓練ご苦労様でございます('◇')ゞ